猫 尿道瘻形成術 [News]
●尿閉塞
昨日の状態は尿閉塞(尿が出ない状態)で瀕死。応急処置のみを希望されたので、閉塞解除後は帰宅されました。心配なので経過を見せていただく為に来院を促しました。本日は昨日よりは尿が出ているものの閉塞気味です。飼い主さんにお願いし、膀胱へのカテーテル挿入の許可をもらいました。
●緊急手術
昨日の応急処置で入ったカテーテルが今日は途中から入りません。既に腎臓は大きくなり閉塞の負荷もかかっています。このままお帰しすれば死んでしまうのでそうも行きません。急ぎ電話でカテーテルが挿入できないことを告げ、緊急手術の許可を得ました。ペニスを切断し、骨盤尿道まで切開しそれを広げて、尿道を形成しました。
●閉塞した結石
上記の手術で発見された結石です。尿閉塞の原因は、骨盤尿道で結石が数個閉塞をおこしていたのでした。結石表面がスムースでないので、逆行性にフラッシュしても動かなかったことが分かりました。尿道を切断して形成することは、積極的に行うことではありませんが、管理が十分出来ないこと、緊急事態であったことを考えると今回の判断は適切だったと思います。
●術後
手術後5時間です。2日前は昏睡で死にそうな状況でしたが、既にお皿いっぱいの食事をあっという間に完食しました。これからは、まず結石が尿道につまることはありませんが、結石が再び発生すると膀胱炎になることはあります。最低限度食事を管理して、結石が出来ない様にしてあげたいものです。
関連タグ :
根管治療 [News]
●第4前臼歯の露髄
2年前に上顎の第4前臼歯冠の欠損を生じたそうです。犬ではこの部分が一番障害を受ける所です。最近、歯磨きを嫌がるようになったということで紹介されました。
●歯髄の洗浄、研磨
本来第4前臼歯には、3本の根があるのですが、内側の根は存在していませんでした。歯の根の先端までの長さを測定し、歯髄を段々と広げる操作を繰り返します。
●歯髄の消毒、充填
歯髄内を研磨後消毒を行います。次にガタパーチャ―という充填物質を注入します。
●レントゲン撮影
レントゲン撮影にて充填状況を確認します。
●エナメル修復
最後に、エナメルを修復して、歯石を除去して終了です。
●メッセージ
人間と比較して、動物の歯周病は放置され、それが進行して歯が抜けてしまいます。また、動物は歯が欠けて滲みる場合でも放置されていることがほとんどで、その露出した髄から感染が始まり、根の元に感染巣が作られ痛みを持ったまま過ごす日々が始まります。
早い段階でエナメル処置、歯髄処置を行い、末長く健康な歯を維持できるように気をつけて欲しいと思います。
関連タグ :
猫の疥癬症 [News]
●疥癬症
疥癬とは、皮膚に穴をあけて住み着く寄生虫です。感染経路は、猫と猫の接触からです。よって、外出する猫チャンは、可能性があるので、以下の点に注意してください。
特徴的なのは、耳の辺縁から症状が始まり、だんだんと皮膚が硬くなり、大きな皺ができてきます。また、かゆみが著しく、そのため自分で皮膚をかき壊し、出血することもしばしばです。私は、飼い主さんに説明するときには「メロンパン顔」になると伝えます。
●頭から全身に
この絵は頭が下側ですが、大きな皺が首にまで広がり、首の一部から出血を認めます。治療は、ダニを殺す薬を数回飲めば完治しますが、ひどくなりすぎる(悪液質)と死亡してしまうこともあります。治療が受けれない野良猫の場合は、悲しいことに最終的に死を迎えることになります。