広島県呉市「石崎動物病院」

動物に優しく思いやりのある診療をモットーに

RSS1.0


耳の悪性腫瘍(遅れた判断) [News]

画像(330x247)・拡大画像(640x480)

●三毛猫 16歳 ♀
「2年前に、他の猫に耳の先端を噛まれて傷になり、その部分を気にして引っ掻き続け耳が無くなってしまった」との主訴でした。1年前から病院に通うが、年齢的に手術ができないと言われ、昨日来院されました。

画像(330x247)・拡大画像(640x480)

●溶解した耳介
飼い主さんは、外傷からこの状況になってしまったと思われていましたが、外傷がいくら進行しても、耳を溶かしてしまうことは決してありません。
傷は、溶解している組織と増殖している組織が見られます。見た目では判断してはいけませんが、稟告の歴史と傷の状況から扁平上皮癌を最も疑いました。
★この度、激しい写真を掲載したことをお詫び申し上げます。


画像(330x247)・拡大画像(640x480)

●細胞診
細胞は、たくさん取れませんでしたが、扁平上皮というより線維肉腫を疑います。悪性所見はあります。

画像(330x247)・拡大画像(640x480)

画像(330x247)・拡大画像(640x480)

●今後の計画
耳介が溶け去り、さらに奥の耳道に浸潤波及している状況です。そして、慢性腎不全を持ち、中等度の脱水があります。確かに麻酔をかけるには危険を伴いますが、このまま腐った状況を放置する訳にはいきません。飼い主さんと十分に話し合い、万全を期して処置を行うことにしました。

画像(330x247)・拡大画像(640x480)

●数日後の処置
慢性腎不全の管理を行い、数日前から脱水をとって麻酔をかけて@胸のレントゲンA耳の炭酸ガス処置B凍結処置C術後の食欲不振を考慮して胃チューブ装着を行いました。

画像(330x247)・拡大画像(640x480)

●切除軟骨
レーザーで切除した耳道の軟骨です。軟骨以外の耳の組織の9割は、無くなっていました、

画像(330x247)・拡大画像(640x480)

●翌日
見た目は、初日と変わらなく見えますが、かなり綺麗になっています。腫瘍組織は凍結処置により破壊していますので、多くは壊死して脱落します。

画像(330x247)・拡大画像(640x480)

ともかく、第一段階終了です。明日は、退院です。
耳からの持続出血がなくなり、来院された時より元気になった気がします。腫瘍を完全に除去できるかどうかこの段階では分かりませんが、除去できた折

には、皮膚弁による縫合を行いたいのですが・・・・。


関連タグ :

  一記事表示

軟部組織肉腫(遅れた判断) [News]

●ラブラドル ♀ 12歳 ラブ

画像(330x247)・拡大画像(640x480)

4月の後半に「咳」の症状で来院されました。その際の身体検査で左前足先に小さな出来物を発見しました。我々の仕事は、確固たる証拠がない限り、疑ってかかることを重視し、見た目だけで決して判断してはいけないことを厳守しなければなりません。この写真は、5か月後の手術前の写真ですから随分と大きくなっていますが、、私が発見した当時は、可愛く小さなものでした。検査、切除を薦めましたが、飼い主さんにとっては、見た目はきれいだし、小さな塊なので「イボ程度」に考えて、切除することは到底考えられませんでした。

画像(330x247)・拡大画像(640x480)

●思いきって切除
ここまで大きくすると(上記)腫瘤部分を切除しても周辺からの皮膚が足りず、また、切除後に皮膚移植にしたとしても動物の性格、稼働しやすい部分であることから、指ごと落とすことが適切であると判断しました。確かに指は残すに越したことはありませんが、人間ほどの不自由はありません。

画像(330x247)・拡大画像(640x480)

●病理結果
結果は低悪性度の軟部組織肉腫でした。腫瘤は完全切除がなされ、予後は良好であるとの報告でした。

以前も同じことを書いていますが、見た目だけで腫瘤を決して判断してはならず、必ず組織検査をおこなって、速やかに小さなうちに切除してしまうことが大切です。
そして、繰り返しますが、切除してからの今後の生活改善を行わなければなりません。


関連タグ :

  一記事表示

とったどー! [News]

●ランラン トイ・プードル 4歳
「桃の種を食べたがお腹を切らなければダメか?」とお電話がありました。

画像(330x247)・拡大画像(640x480)

お話を伺うと「掛かり付けの動物病院では、内視鏡が無いので胃を切開して取り出さなければならないと言われるが何とかならんか!?」との内容でした。その為、島根県から台風の最中、来院されることになりました。

画像(330x246)・拡大画像(640x479)

出た!桃の種!?

●超音波検査
触診で小腸、大腸を検査するも、桃の種らしきものは感じられません。次に超音波検査へ進み、胃の中を検査しました。すると桃らしき映像が見られ、胃の中に存在することの確信を深めました。確実に食べたことを再度確認して内視鏡検査へ進みました。

画像(330x306)・拡大画像(424x394)

●消化管内視鏡1
胃カメラでおなじみの消化管内視鏡を使用して、胃の中をのぞきました。すると胃の出口である幽門部に「種らき物」が居座っているのが分かりました。
胃カメラにバスケット状になった鉗子を挿入して、種をそのバスケット鉗子の中に何度かの角度調整をしながら誘い込み、しっかりと把持しながら牽引します。


画像(330x247)・拡大画像(640x480)

●消化管内視鏡2
桃の種を飲んだ以上、出すことができるのは道理ですが、種は縦と横で長さに違いがあります。鉗子で把持する時にはできるだけ縦に位置させなければなりません。ほど良い角度で把持できましたが、それでも、胃の出口である噴門部で苦労がありました。梅干しが胃を通過して外に出た瞬間、思わず「とつたどー!」と喜びの声が上がりました。
再度、カメラを挿入して胃壁の被害状況を確認します。所々に出血痕が確認されたので、胃粘膜を保護する薬を投与して終了しました。

画像(330x247)・拡大画像(640x480)

●不幸中の幸い
梅干しの種であれば既に小腸へ流れこんでいたと思いますが、桃の種は一回り大きいので小腸へ流こむことができず、今回の内視鏡での処置が可能でした。お腹を切ることなく、釣りあげれたことは幸いでした。

よって、翌日から普通に食事を開始することが可能になります。
遠方より来ていただいた甲斐がありました。
めでたし、めでたし。


関連タグ :

  一記事表示

過去の記事へ

ページのトップへ

症例検索キーワード

  • お問い合わせ
  • スタッフ募集
  • 石崎動物病院の日々

検索

最近の記事

リンク集

powered by a-blog

[Login]